多重債務者の実態

多重債務者の苦悩
フィクション

数カ月前から返済が常に遅れている

その都度業者から督促の電話が来る、職場にも電話が来た事がある

これまでは遅れながらも、なんとか返済して来た

しかし今回は全然アテがない、親から借りるのは無理、第一借金の事は親には内緒だ

一番ウルサイ業者の返済日が明後日に迫っている、取立てでは有名な業者だ

どうにかしなければ……、しかし……何んの名案もうかばない

強盗や夜逃げ、あげくは大地震で世界の全てが壊れればいい、などの考えが心をヨギル

支払い当日…、どにもならない、借金の事で仕事が手に付かない

昼、何を食べてもマズイ、時々胃がチカーッと痛みムカムカする

結局この日は返済出来なかった
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その夜は借金の事で眠れない、時折フトンの中で『オオォー、ガーッ』などと大声を出す

苦痛のため精神異常になっているのが自分でもわかる
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二日後、業者がドナッテ電話をよこした

出たくなかったが出ないと職場に電話が来る

『これから行くから金を用意しておけ！！』

『はぁ〜〜、すみません』

『こんな事じゃ、裁判して給料押さえるぞ、いいのか！！』

職場には絶対内緒にしたい、思わず『来週払います』と言った

あてがある訳ではなく、この場を切り抜けるデマカセだ

あっという間に約束の返済日、しかし返済のメドは全く無い

今日払わなければ、あの業者は何をするか分からない

それに明日は他の３社の返済日だ

完璧にお手上げ、頭の中はパニック常態、考える気力すら無い

内心…イヨイヨ駄目か〜、なるようになれ、半分アキラメの境地だ

何故か無邪気な幼少の頃から学生時代の懐かしさが走馬灯のように思い出された
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呆然と空を見上げていたら“お金貸します”の看板が目に付いた

足は自然にソッチへ向いている

借り方は慣れている、駄目もとでデカイこと言ったら２０万借りられた

これで９社合わせて 380万円の借金になった

今後どうなるんだろう、自分の事なのに何も分からない

帰り、気晴らしにパチンコ、３万円取られた

『ついていない時は何をやっても駄目だなクソ！』などとツブヤク

酔いたい気分になりスナックでやけ酒、心は暗いが、わざとハシャイだ

1万6千円の勘定、２万円出して「釣りは要らないヨォ」と心にも無い言葉を言う

帰りのタクシー1800円、２千円出して「釣りは要らない」と言った

今日一日で返済に３万円と、無駄使い5万2千円、明日は別の業者に合せて７万円の返済がある

その夜は酔いも手伝って久々に熟睡出来た
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この多重債務者の場合、場当たり的人生で計画性がまったく無い

返済の為の借金は良くないと分かっているが、どのように対処すべきか…

それは“借金取り対処”で考えてみよう

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